|
・風邪と”別格” インフルエンザ甘く見ないで
平成11年12月24日 読売新聞より
|
ぐっと気温が下がり、空気が乾燥しだすこの時期は本格的な風邪、インフルエンザが集団発生しやすい。滋賀県内では、特別養護老人ホームの入所者8人が入院、亡くなった人もいる。昨シーズンの大流行を教訓に、厚生省は今年、インフルエンザ予防対策に乗り出して警戒を呼びかけている。家庭でも予防に努めたい。
風邪は鼻やのどなど上気道の急性の感染症の総称で、正確には「風邪症候群」という。感染原因のほとんどはウイルス。その種類は200を超えるといわれる。
ここ数年、冬に流行しているインフルエンザもその仲間だが、”別格”と考えた方がいい。急に39度を超える高熱が出ることや、頭痛や筋肉痛、関節痛などの全身症状が特徴で、大人でも苦しむ。
大阪市立総合医療センター中央臨床検査部長の巽さんは「高齢者や乳幼児、慢性疾患の患者さんが感染すると合併症なども起こり、死亡する危険性が普通考えるより高くなる。インフルエンザは危険な病気なのです」と話す。
今年1−3月のインフルエンザによる死者は、高齢者を中心に1000人を超えた。
厚生省は今年、「インフルエンザは風邪じゃない」と訴えるリーフレットを作り、「普通の風邪とは全く違う病気。甘く見てはいけない」と強調。高齢者施設での感染防止ガイドラインを作った。来年3月末まで「インフルエンザ相談ホットライン」(03-5285-1231 平日の午前9時−午後5時)で一般からの相談に応じている。
例年、インフルエンザ流行は1月になってからといわれるが、「大阪府内では、もうインフルエンザが原因の学級閉鎖が出始めました」と大阪府立公衆衛生研究所ウイルス課長、奥野さんは言う。
ここ数年はインフルエンザウイルスの中でもA香港型が流行してきた。「今シーズンはAソ連型にも警戒が必要です。この型に対する免疫を持っていない人が多いからで、早めに流行し始めるかも知れません」と奥野さん。
ウイルスは、患者のくしゃみ、せきなどで飛び散り、別の人が吸い込んで侵入。免疫に勝ったウイルスが気道粘膜の細胞内で増えて発症する。
厚生省では感染の予防法としてワクチン接種を勧めているほか、△外出時はマスクをする△帰宅時には手洗い、うがいを心がける△睡眠を十分とり、栄養に気を配る△室内を適度な湿度に保つ△なるべく人込みに出かけることを避ける−を挙げる。
大阪市立総合医療センターの巽さんは「案外軽く見られているのが手洗い。インフルエンザウイルスなどは、せっけんの界面活性剤に弱いので、よく手を洗って」という。
もし、かかってしまったらインフルエンザも風邪も休養が第一。大抵、体力のある大人なら1週間ほどで回復するとされるが、早めに医療機関にかかることも大切だ。
今シーズンは、新しいインフルエンザ治療薬「リレンザ」(一般名:ザナミビル)が登場する。この薬は、粉末を吸入するもので、気道で直接、ウイルスの感染が広がるのを防ぐ働きがあるという。
海外のデータでは「成人のA型とB型インフルエンザ治療に有効」とされているが、国内データの証明はない。ワクチン不足が問題になっている中の”緊急承認”で、3年後に薬の効果を見直す。来年1月中旬にも医師用の処方薬として使われ始める。
|
新着情報へ戻ります
|
|