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赤ワインで病気を予防
ポリフェノールが心臓疾患やがんに効く
平成11年3月1日読売新聞より
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ワインブームが続いている。ワインの低価格化や、スマートでおしゃれなイメージに加え、「健康にも良い」という認識が一般にも浸透してきたことも大きな要因らしい。ワインの何が、どう体に良いのか、どんなワインを選べばよいのか、探ってみた。
ワインの効果を探るキーワードは「フレンチパラドックス(フランスの逆説)」。フランス人は他の欧米人と同じく肉やバターなどの動物性脂肪を多く摂取し、喫煙率も高いのに心臓疾患による死亡率が低いという現象を表している。こう話すのはメルシャン酒類技術センターの佐藤・ワイン基礎研究室長。
フランス人は1人あたり年間63gと、日本人の63倍のワインを飲む。1992年、フランス人研究者が、乳脂肪とワイン消費量との関係を調べた結果、ワインを飲んでいれば心筋梗塞や狭心症など心臓疾患になる危険性が低いことを立証した。
最近では、フランスで消費されるのは圧倒的に赤ワインであることから、「フレンチパラドックス」を解く鍵は、赤ワイン、特にその中に含まれるポリフェノールという物質であることがわかってきた。
ポリフェノールには体内で毒素となる活性酸素による酸化を抑える「抗酸化作用」がある。悪玉コレステロールは活性酸素によって酸化され動脈硬化の引き金になるが、ポリフェノールがこれを抑える働きをするという。
ワインのほかココアや緑茶などいろんな食品に含まれるが、赤ワインにはココアの1.3倍、緑茶の4倍、200ml中400mgも含まれる。ポリフェノールをたっぷり含む赤ワインは生活習慣病予防に効果的というわけだ。
最近では、さらに画期的な効果も報告された。
一昨年、科学雑誌「サイエンス」に、アメリカ・イリノイ大学のグループがポリフェノールの一種であるリスベラトロールという物質を人工的に皮膚がんをつくったマウスに2週間おきに投与したところ、18週目にがん細胞が最高で98%、最低でも68%減少したという報告が掲載され注目を集めた。
また同年にはフランス・ボルドー大学の研究グループが、ワインの産地として知られるボルドー地方の65歳以上のお年寄り3777人を3年間調べた結果、ワインを毎日グラス3〜4杯飲んでいる人のアルツハイマー病と脳血管障害による痴ほう症の発症率が非飲酒者の4分の1以下だったという研究もある。
さまざまな可能性を秘めたポリフェノールを効果的に摂取するには、どんなワインを選んだらよいのか。
ポリフェノールを多く含む赤ワインでは、色が濃く、味に渋みのあるものを選ぶとよい。タイプがラベルに記されていれば「フルボディー」、ブドウの品種なら「カベルネ」「ネビオロ」を使ったワイン。また、同じ銘柄では、年代の古い方がよい。
ただし飲み過ぎは禁物。佐藤室長は「アルコールの代謝能力が低い日本人は1日にグラス2〜3杯まで。飲み過ぎは逆効果。バランスのとれた食事と一緒に、ゆっくり飲むことが大切」と効果的な飲み方をアドバイスしている。
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