「慢性頭痛と上手に付き合う」
キリリは温め、ズキンズキンは冷やす。

12/21読売新聞より

 あなたは「ズキンズキン」、それとも「キリキリ」?
 つい大きな病気の前兆ではないか、と心配してしまう頭痛。原因は様々だが、その中で日本人の4人に1人が抱えているといわれるのが、身体や脳に疾患がないのに起きる「慢性頭痛」。命に別条はないといっても、当人にとっては「物事に集中できない」「頭を取りかえられたらいいのに」など、痛みは日常生活が憂うつになるほど深刻だ。女性を中心に多くの人を苦しめている慢性頭痛との付き合い方を紹介する。

 家事やデスクワークで長時間うつむいていると、肩がガチガチに硬くなり、頭がぼうっとなる。これが代表的な慢性頭痛の一つである「緊張型頭痛」。後頭部を中心に、頭全体が締め付けられるように痛む。
 原因は首や肩の筋肉にたまる疲労物質の乳酸。対策はストレッチ体操やマッサージなどで筋肉の緊張を和らげたり、患部を温めて血行をよくしたり。まゆの辺りをもむなど、眼精疲労のケアも効果的だ。
 しかし、「ふろに入ったら、痛みがひどくなった」という経験を持つ人もいるはず。
 緊張型頭痛には、血の循環を促進する入浴は効果的だが、温めるとかえって逆効果になる頭痛がある。それがもう一つの代表的慢性頭痛の「片頭痛」だ。
 頭皮の血管が拡張して周囲の神経を圧迫し、頭のどちらか一方がズキンズキンと痛む。しかし、なぜ血管が拡張するのかは、まだよく分かっていない。だから、血管を一層拡張させる入浴や運動はご法度。患部を冷やして安静にする必要がある。緊張型頭痛とは正反対の対処法だ。
 「頭痛の痛み、原因は本人にしか分からない。まず、冷静に自分の頭痛と向き合うこと。いつ、何をしていて、どんな痛みがどれくらいの時間あったのか、記録してほしい」と、京都市立病院の立岡良久・内科神経部長は話す。
 薬の服用は、慎重さが必要だ。市販されている薬はすべて痛みを鎮めるものなので、どちらの頭痛にも一定の効果がある。しかし、頻繁に服用していると効き目が弱くなり、より多量の薬を求めるという悪循環が起きる。薬物依存症に陥る恐れもあるという。
 むしろ、食べ物に気を使ったほうが効果的。緊張型頭痛は、血管を広げて血行をよくするために、ナッツやウナギ、カボチャなどのビタミンE、梅干し、アルコールがよい。片頭痛の場合には、チョコレートやアルコールを避ける。
 立岡部長は、「漫然と病気ではないかと悩んで、不安神経症になる人もいるが、まず不安を取り除くために頭痛の種類をはっきりさせること。次にストレスなどの頭痛を起こしている原因を取り除く。これで症状がなくなることも多い。そのうえで病院に行っても遅くない」とアドバイスする。
 このほか、心因性頭痛、女性特有の月経による頭痛などもある。ただ、バットで殴られたような激痛や、徐々に痛みが増していく場合は、くも膜下出血や脳しゅようの疑いがあるので、すぐに専門医に受診することが大切だ。
 


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